顔と頭の汗がすごい原因は?対処法はある?
「人と比べて顔と頭の汗の量が多い」「他の部分は汗をかいてないのに顔と頭だけ汗が出る」など特定の部位にだけ出る多量の汗にお悩みの方はおられませんか?
顔と頭の汗は特に目立つ部分でもあるため、他人の目が気になったり必要以上に出る汗のせいで日常生活に支障をきたす場合もあります。
顔と頭の汗がすごい原因はさまざまですが症状によっては別の疾患が要因となっている場合もあります。
放置しておくと悪化する恐れもあるため、早めの対策や適切な治療がおすすめです。
そこで今回は「顔と頭の汗がすごい原因」や「汗をかかない方法」、「対処法はある?」などについて詳しく解説していきたいと思います。
そもそも汗が出るのは何故?役割や仕組みは?
そもそも身体から汗が出るのは何のためなのでしょうか?
まずは汗の役割や仕組みなどについて解説します。
汗の役割
汗には以下のような役割や効果があります。
体温の調節
基本的に汗は人の体温を調節して一定に保つ事が主な役割です。
汗は皮膚の表面で蒸発する時に「気化熱」という熱を放出して体を冷やします。
夏の気温が高い時や運動をした時などに汗をかくのは、体温の上昇を抑えて一定に保つためです。
肌の保湿やバリア機能
汗は体温調節だけでなく保湿効果やバリア機能を高める役割もあると言われています。
汗には「天然保湿因子(NMF)」という保湿成分が含まれており角質層の中で水分を保持して肌の乾燥を防いでくれます。
また。汗が皮脂線から分泌される皮脂と混ざり合う事で「皮脂膜」を作るため、その皮脂膜が皮膚の表面を覆います。
その結果乾燥や摩擦などから肌を守るバリア機能の役割も果たしてくれます。
老廃物の排出
汗には、体内の不要な老廃物や毒素、余分は水分を排出する役割もあり、汗をかく事で新陳代謝が上がります。
また、汗と一緒に皮膚の汚れや毛穴に詰まった角質なども一緒に排出するため、身体や皮膚を清潔にする美肌効果もあります。
汗を分泌する2つの汗腺
汗は「汗腺」から分泌されますが、汗腺には以下の2つの種類があります。
エクリン汗腺
エクリン汗腺は、皮膚の浅い所にある全身に存在する汗腺です。
エクリン汗腺から分泌される汗は、99%が水分で1%にだけ塩分やアンモニアなどが含まれています。
ほぼ無臭でサラサラしているのが特徴で、普段、体温が上がった時にかく汗はエクリン汗腺から分泌される汗です。
何らかの原因により、このエクリン汗腺から大量に汗が分泌される症状を多汗症と言います。
エクリン汗腺は全身に存在するため、多汗症の場合も「頭部・顔・脇・手のひら・足の裏・背中」などあらゆる部位に症状があらわれます。
アポクリン汗腺
アポクリン汗腺は、皮膚の深い所にあり体の中の限られた部位にだけ存在する汗腺です。
アポクリン汗腺から分泌される汗には、タンパク質・脂質・糖質・アンモニア・鉄分などの成分が含まれています。
少し濁った色で粘り気があるのが特徴で、もともとは異性を引き付けるフェロモンのような役割を果たしていたと言われています。
アポクリン汗腺の数や大きさは人によって違いがあります。
わきがの原因となるのがこのアポクリン汗腺で体臭の強い人(わきが臭の強い人)は、体質的にアポクリン汗腺が大きい、または汗腺の数が多いなどの特徴があります。
汗の種類と仕組み
汗をかく仕組みには以下の3つの種類があります。
温熱性発汗
人が汗をかく仕組みとして最も多いのがこの温熱性発汗です。
気温が高い時や運動をした時など、体温が上昇した場合に体温を下げるために分泌される汗です。
手のひらや足の裏を除く全身のエクリン汗腺から持続的に発汗し、体温の調節を行います。
精神性発汗
興奮や緊張、不安や強いストレスを感じた場合などにかく汗はこの精神性発汗によるものです。
手のひらや脇の下、足の裏などの局所的な部位に短時間で汗をかくのが特徴です。
精神性発汗は、エクリン腺とアポクリン腺の両方から発汗します。
味覚性発汗
香辛料が効いた辛い物や酸っぱい食べ物などを食べた時にかく汗はこの味覚性発汗です。
エクリン腺から発汗しますが特に頭や額、鼻や口の周りを中心に汗をかくのが特徴です。
辛さによる味覚の刺激により反射的に起こるもので口の中の温度が上昇したと勘違いした脳が、冷やそうとして起こる症状とも言われています。
頭と顔の汗がすごい!考えられる原因とは?
頭と顔の汗の量が人より多い場合、また汗をかく状況じゃないのに必要以上に汗が出る場合、「頭部多汗症」「顔面多汗症」などの可能性があります。
ただ、多汗症の原因も人によって異なり中にははっきりとした原因がわからない場合もあります。
ここでは、多汗症である場合に考えられる原因についてまとめてみました。
病気や薬が原因の多汗症(続発性多汗症)
何らかの疾患や薬の副作用などが原因で症状を引き起こしている多汗症は、「続発性多汗症」と言われています。
神経疾患や代謝異常、感染症などのさまざまな病気が要因となり、多汗症の症状があられる場合があります。
代表的な疾患としては以下のようなものがあります。
自律神経失調症
自立神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2種類の神経がバランスを取って身体の機能を調節しています。
この自律神経のバランスが崩れる事を「自律神経失調症」と言います。
自律神経失調症になると、身体のあらゆる場所に症状があらわれます。
発汗は交感神経の働きによるものであるため、自立神経のバランスが崩れ発汗を促す交感神経が過剰に刺激されると多汗症の症状を引き起こす場合もあります。
汗をかくような場面ではないのに急に頭や顔、脇や手のひらなどに大量に汗をかいてしまう場合、また多汗症の症状以外にも以下のような症状がある場合には自律神経失調症の可能性があります。
- 動悸、息切れ
- 倦怠感
- 下痢、便秘
- 不眠
- めまい、耳鳴り
- 頭痛
- 不安、イライラ
- 手足のしびれ
- うつ症状
更年期障害
更年期とは、一般的に女性の閉経前後の約10年間(45歳~55歳頃)を指してします。
更年期には女性ホルモンのバランスが大きく変化するため、さまざまな症状を引き起こします。
症状が出る原因は、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌量が低下し自律神経が乱れるためと言われています。
中でも「顔がほてる」、「のぼせる」、「急にカーッと熱くなって汗が大量に出る」などの「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状が出る人も少なくありません。
45歳~55歳くらいの女性の方で頭と顔だけ汗がひどくなる人、またその他にも以下のような症状がある人は、更年期障害の可能性があります。
- 動悸、息切れ
- 腰や手足の冷え
- 寝つきが悪い、不眠
- イライラ、怒りっぽい
- 頭痛、めまい
- 吐き気、胃もたれ
- 疲労感
- 肩こり
- うつ症状
糖尿病
糖尿病で高血糖の状態が続くと全身のさまざまな器官や神経にダメージを与えます。
末梢神経や自律神経が影響を受けてしまうと発汗異常が起こり、多汗症状や反対に汗をまったくかかないなどの症状があらわれる場合もあります。
また、糖尿病を発症すると喉の渇きを感じる事が多くなり飲み物を摂取する回数が増え、その結果、汗の量が増えるという場合もあります。
糖尿病による多汗症状では「甘酸っぱい臭いがする」、「べたつきを感じる」など汗に特徴があります。
糖尿病による神経障害で多汗症状がある場合には、血糖をコントロールして血糖値を安定させる治療が必要です。
糖尿病は他の合併症を招く恐れもあるため糖尿病による多汗が疑われる場合、また、その他にも以下のような症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。
- 喉の渇き
- 倦怠感
- 目のかすみ
- 皮膚の乾燥、かゆみ
- 頻尿
- 体重の減少
- 手足のしびれ、痛み
- 足のむくみ
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると新陳代謝が活発になり、暑がりになって多量の汗をかくといった症状があらわれます。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の症状には、多汗の他にも以下のような症状が出る場合があります。
- 動悸、息切れ
- 手の震え
- 倦怠感
- イライラ、落ち着きがない
- 不眠、集中力の低下
- 口の渇き
- 体重の減少や増加
- 下痢
- 微熱
- 月経不順
- 眼球突出
その他
続発性多汗症には上記以外にもパーキンソン病などの神経障害によるもの、結核や敗血症などの感染症によるものもあります。
また、ステロイド薬、非ステロイド抗炎症薬、向精神薬(抗うつ剤)、睡眠導入薬などの薬の副作用によって、多汗の症状を引き起こす場合もあります。
明らかな原因がない多汗症(原発性多汗症)
病気や薬の副作用などの明らかな原因がない多汗症は、「原発性多汗症」と言われています。
原発性多汗症は、自律神経の乱れや運動不足、遺伝などさまざまな要因なども考えられます。
自律神経の乱れ
前述のように自律神経の乱れは、交感神経を刺激し通常であれば汗が出ない状況なのに発汗したり、汗が止まらないといった症状を引き起こします。
自律神経は不安や緊張、ストレス、睡眠不足などからバランスを崩す事も多いため、精神的な要素が大きいとも言えます。
日頃から緊張や不安を感じやすい人、ストレスや悩みを抱えている人などに多汗の症状があらわれる場合もあります。
運動不足
運動不足により汗をかく機会が少なくなると心臓から遠い汗腺の機能が低下します。
そうすると顔や頭、脇などの汗をかきやすい場所、汗腺が発達している場所から汗を出し体温の調節を行うようになります。
その結果、一部の汗腺だけが活発に働き多汗症の症状を引き起こす場合があります。
遺伝
はっきりとした事は解明されていませんが、重症の多汗症の人の場合は遺伝の可能性もあります。
原発性多汗症の人の家族に同じような多汗症の症状があるケースも多い事から、遺伝的な要因が指摘されています。
その他
上記以外にも食生活の乱れや喫煙、過度な飲酒や睡眠不足など、日頃の生活習慣が要因となり多汗症の症状を引き起こす場合もあります。
また、エアコン(冷房)による体の冷やしすぎなども汗腺の働きが衰える原因になったり、室内と外との気温差で自律神経のバランスが崩れ多汗症の症状があらわれる場合もあります。
夏の気温が高い時は、熱中症にならないためにもエアコン(冷房)などで適度に体を冷やして体温を下げる事は大切ですが、必要以上に冷やし過ぎないように注意しましょう。
多汗症かどうか見分ける方法は?病院に行くなら何科?
ここまで多汗症の原因などについて解説してきましたが、人より汗をかく量は多いと感じるけど日常生活に支障が出るほどではないと言う人は多汗症ではなく体質によるものかもしれません。
ただ、多汗症と見分けるには難しい部分もあるため、ここでは多汗症かどうかを見分ける方法についてご紹介します。
ただの汗っかきの場合も?多汗症との違いは?
太っている人や皮下脂肪の多い人は汗をたくさんかいているイメージがありますが、これには理由があります。
皮下脂肪が多い場合、体から熱が逃げにくくなってしまうため、体温を下げるためには多くの汗を出さなくてはいけません。
皮下脂肪が少ない人と比べると、汗をかく量は必然的に多くなってしまうのです。
このように体質により人と比べて汗の量が多い人の事を一般的に「汗っかき」と言います。
多汗症と汗っかきの大きな違いは、「体温調節が必要な時に汗をかいているかどうか」です。
多汗症の場合は体温調節が必要でない場合、季節や状況などに関係なく汗をかくなどの特徴があります。
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顔と頭の汗がすごい原因が多汗症の場合、自分でできる対処法はある?
多汗症は交感神経が興奮しやすい、汗の分泌が増える遺伝子を持っているなど様々な要因でリスクが高まります。
しかし、多汗症の根本の原因は判明していないため明確な対処法はありません。
ただし、症状がそれほどひどくない場合なら以下のような対処法でもリスクを抑えられる可能性はあります。
生活習慣や食生活を改善する
生活習慣や食生活の乱れなどから交感神経が優位になって発汗を促している場合、それを改善する事で多量の汗を抑える効果が期待できます。
- 十分な睡眠を確保する
- 飲酒、喫煙を控える
- 栄養バランスの良い食事を摂る
- 刺激物やカフェインなどを過剰に摂取しない
- ストレスをためない、リラックスタイムを作る
- 適度な運動で汗腺の衰えを防ぐ
制汗剤や対策グッズを利用する
市販の制汗剤や対策グッズには、
- 汗腺の出口を縮めて汗を出にくくする
- 汗腺をふさいで汗を抑える
- 汗を吸収してベタつきを抑える
- ニオイの元になる雑菌の繁殖を抑える
などの効果があります。
症状が軽度である場合、一時的に汗を抑えたい場合には制汗剤や対策グッズの利用も効果的です。
スプレータイプの物や塗るタイプの物、ジェルタイプや制汗シートなどあらゆるグッズがあります。
ただし、効果には個人差もありあくまで一時的な対処法ですので効果は持続しません。
また、人によっては刺激が強すぎたり肌に合わなくて皮膚トラブルを起こす可能性もあるため注意が必要です。
症状が改善しない場合、病院に行くなら何科?
自分でできる対処法では症状が改善しない場合、症状がひどい場合には一度医療機関を受診してみてはいかがでしょうか?
多汗症の診察ができる主な医療機関をご紹介します。
多汗症の診察が可能な医療機関
多汗症は精神的負担から症状が悪化する場合もあるため頭と顔の汗の量がすごい人、多汗症が疑われる人は一人で悩まずに医療機関で一度相談してみましょう。
多汗症の診察や治療は主に以下のような医療機関で行っています。
- 皮膚科
- 形成外科
- 美容皮膚科
- 美容外科
ただし病気などが原因の続発性多汗症である場合、内科や婦人科、神経科などを受診して適切な治療を受ける必要があります。
汗をかかない方法はある?多汗症の治療とは?
まったく汗をかかないようにする方法はありませんが多汗症の治療には色々な種類があり、症状に合わせて適切な治療を行う事で症状の改善は期待できます。
最後に多汗症の主な治療法についてまとめました。
なお多汗症状のある部位やクリニックによっては施術できない治療法もあります。
漢方を服用する
漢方を服用し、体の機能や心身のバランス整える、自律神経の乱れを正常化するなどして、多汗症の症状を改善する方法もあります。
代表的な漢方薬としては、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」、「白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)」などが多汗症の治療として使用される場合があります。
汗を抑える治療を行う
多汗症の原因や症状のある部位、症状レベルなどによって治療法も異なりますが、症状が軽度である場合には、薬の服用やボトックス注射でもある程度の効果が期待できます。
外用薬・内服薬
外用薬治療では、汗腺を塞いで汗の分泌を抑える薬液を患部に塗ります。
代表的な外用薬には、パースピレックスやエクロックゲルなどがあります。
内服薬治療では、神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を抑える働きをする「抗コリン薬」を服用します。
ボトックス(ボツリヌス)注射
ボトックス(ボツリヌス)注射は、ボツリヌス菌の毒素を使用して神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を抑えて汗腺の働きを抑える治療です。
患部に直接「ボトックス(ボツリヌス菌)」を注射します。
エクリン汗腺の発汗が抑制される事で汗の分泌量を大幅に減少させる効果が期待できます。
ただ効果は持続しないため継続的な治療が必要です。
汗腺を除去、または破壊する治療を行う
多汗症の症状が重度である場合には、薬や注射などの一時的な対処法ではあまり改善が期待できません。
多汗症の原因となる汗腺そのものを除去する、または破壊するなどの根本的な治療が必要です。
汗腺除去手術
汗腺除去手術は、皮膚を切開して汗腺を除去する治療法です。
多汗症の原因となる汗腺そのものを除去するため、症状がひどい人にも効果の高い治療法です。
手術の方法(汗腺の除去方法)にも種類がありますが、いずれも皮膚を切開して施術を行うため、傷が残ってしまったりダウンタイムが長いなどのデメリットもあります。
高周波・マイクロ波治療
高周波・マイクロ波治療は、汗腺を熱破壊する治療法で多汗症の原因となるエクリン汗腺だけでなく、わきがの原因となるアポクリン汗腺の両方の汗腺を破壊します。
皮膚の上から高周波やマイクロ波を照射して汗腺を破壊しますが、基本的に一度破壊された汗腺は再生する事はないため汗腺除去手術と同じく症状がひどい人にも効果の高い治療法です。
なお、こちらの治療の場合は汗腺除去手術と違って皮膚を切開する必要がありません。
そのためダウンタイムもほぼなく、体への負担は最小限でありながら効果の高い治療を受ける事が出来るというメリットがあります。
神戸三宮周辺で多汗症治療なら神成美容外科へ!
今回は顔と頭の汗がすごい原因と対処法などについて解説してきました。
基本的に顔と頭の汗だけで見ると対処法はありませんが、お体の状態や症状によっては多汗症の可能性もあります。
もし原因が多汗症である場合には症状が悪化する前に早めの治療がおすすめです。
当院ではお一人お一人の患者様にあった技術とサービスを提供していく事を最優先にしております。
多汗症かもしれないとお悩みの方、多汗症治療をお考えの方は是非お気軽に当院の無料カウンセリングをご利用ください。